ADMIN TITLE LIST
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。




レンタルの返却期日が迫ってきて夜中に半分眠りこけながら黒澤明の「隠し砦の三悪人」を見る。
前回見たのは実はボストンにいた時で、ケーブルチャンネルの IFC(Independet Film Channel) という局で週末に黒沢映画や勝新の座頭市などをしょっちゅう放映していて、偶然つけたらやっていたので途中まで見ていたのだった。(その後予定があったので出かけてしまったけど) その時は確か太平(千秋実)と又七(藤原鎌足)が真壁六郎太(三船敏郎)にそそのかされて(?)薪を山名藩領に運ぶ道中のあたりまで見たのでした。

モノラルなのでやっぱり音声がちょっと聞きづらいのですよね。音が割れたようになってしまって、特に全体的に役者がみんな怒鳴ったようにセリフを言うので聞き取りにくい。仕方がないけど。特に声が割れて何を言っているのか聞き取りにくかったのが雪姫役の上原美佐のセリフ。

上原美佐つってもあれですよ、ナイスバディの「のだめ」で千秋先輩の声楽科の元GFを演じたあの別嬪さんではもちろんありません、同姓同名ですけど。芝居もヘタだしセリフも何言ってんのかわかりづらいなぁ~、なんて思っていたら、黒沢明に大抜擢されてこの映画でデビューしたんですね。(でも「私には才能がない」といってその後2年で引退したとか)
秋月家のお姫様なのだけれど男勝りで勝ち気な16歳(には見えないが)。だけれど敵方に素性がバレてはならないためにろう者の山娘という設定にしてある。この設定で多少は演技力の乏しさをカバーする上手い工夫がみられるのだけれど、如何せんやっぱりちょっと棒読みですな。ただキリッとした顔立ちと抜群のスタイルの良さは雪姫のイメージにピッタリだったことで大抜擢だったのかも知れないけれど。

やはりこの映画で最も有名なシーンは六郎太が雪姫らを連れて国越えしようとする時に敵陣に見つかってしまい、本陣の味方に彼らの存在を知らせるために引き返した敵兵(2名)を追いかけて馬上で闘う場面。三船敏郎は両手放しであのスピードの馬上で格闘シーンを演じており、しかもあれがノースタントというのが驚異的。

3頭の馬が全力疾走で駆け抜けてゆき、馬に乗りながら相手を斬り倒すアクションはものすごい迫力。スピード感を増幅させるために3頭が走りすぎていくショットと砂煙を上げて駆けている馬脚のショットだけを交互にカットバックして緊張感を高めている。三船敏郎が最初に追いつく、2人のうちの後ろの敵が斬り倒されて落馬する時の、勢い・スピード・砂煙の臨場感たるや、さすがにちょっとワクワクするものがあった。

でもね、正直なところワクワクする見せ場はここだけで、「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」が好きなわたしにはちょっと物足りなかった。
ジョージ・ルーカスは「スターウォーズ」の着想をたくさんこの映画から得たとは思うのだけれど。

確かに凸凹コンビの千秋実と藤原鎌足はいかにも欲に目がなさそうで、互いにけなし合いつつも「長生きしような」「生きてりゃ儲けモンだよな」と支え合う(?)くされ縁がにじみ出ていてよかったですね。あぁ、確かにC-3POとR-2D2だわね、と。

来年松潤が主演するリメイク版の「隠し砦」の武蔵というのはオリジナルには登場しない名前ですが、千秋実と藤原鎌足が演じた凸凹コンビの片方にあたる新しい農民役の若者のようで、もちろん太平とも又七とも少し違ったキャラクターになっている模様。
グラビアもインタビューも充実していた『CINEMA SQUARE vol.15』の松本潤独占インタビューによると、もし完全リメイクの話だったら多分この映画の話は受けていなかったと思う、と語っていた。

   やっぱりオリジナルはすごすぎますもん。だから「『隠し砦の三悪人』を完全リメイクしますけど、やりますか?」と聞かれたら、多分「やりません」って言いましたね(笑)。

   大前提として、黒澤さんの『隠し砦~』は尊敬していますが。全く同じことをやる上では勝てないですからね。…はい。勝つ気はないです。戦うつもりもないし(笑)。僕としてはタイトルも変えて欲しいくらい(笑)。

   (武蔵は)金鉱堀りです。そんなに悪くはない山賊というイメージかな。ある過去があって、孤独に生きてきたので、悪いこともしてきたけれど、根っこはそんな悪人でもない、みたいな。


わたしも最初に松潤がこの映画の主演、と聞いた時に手放しで「あらスゴイ!」というよりは「あぁ、ハードルの高い作品を選んだんだなぁ」と思ったりした。
名作のリメイクが成功した例は少ないし、黒澤作品なら尚のことで、彼の演技云々の以前に企画として既に世間の評価の目は2割り増しぐらいは厳しくなっている気がする。
来月公開予定の森田芳光監督の『椿三十郎』が一つの試金石かも知れないけれど、どんなに新しい解釈を織り込もうとも、どんなに現代の人気俳優たちを集めようとも、やはり純粋に評価を得るのは厳しいことだと思うから。

正直なところ、『椿三十郎』にしても『隠し砦の三悪人』にしても、たとえ【全く新しい作品として見て欲しい】と言われても、そしてそういうつもりで見ようとしても――やはりそれは難しい。
もちろん出演陣のみならず監督の樋口氏も脚本の中島氏も、それは痛いほどわかっているとは思うけれど。

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画





















管理者にだけ表示を許可する




| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2017 fragments  , All rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。