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行って来ました、『天然コケッコー』を観に。
レイ・ハラカミを聴きに、くるりを聴きに、そして「コケッコー」の世界を確認しに。

くらもちふさこ原作の『天然コケッコー』という漫画(『YougYouコミックス』だと全14巻)は、大きな流れの中では物語は連続していますが、基本は1話完結の漫画です。
だからこの映画化に当たって、脚本の渡辺あやはその独立した1話完結のピースを2時間ほどの物語に繋いでいく作業が必要だったわけで、どのエピソードを拾い上げるか、この物語のどの部分を一番の見せ所にするか、いろいろ苦心があったと思います。

のどかな山陰の田舎に大事件は起こるはずもなく、主人公の中学生たちの瑞々しい初恋の姿と田舎暮らしの人々のゆったりとした静かな日常を描き重ねていくことがこの原作の素晴らしさでもあるのですが、映画も極力忠実にそのテイストを再現しようとしていました。

障害物が何もない広い広い空。
緑濃い山々。
単線の電車。
木造の校舎。
軽トラックの走る農道。
町中の誰もが知り合いというコミュニティ。

原作の1話完結のエピソードをつないでいくため、映画ではエピソード毎に画面が暗転して話を紡ぎます。ただわたしにはその「間」が微妙に物語の流れを遅くしているように感じました。緩急がなくて「緩」ばっかり、というような。
この映画にたたみ掛けるようなリズムをつけたって全くそぐわないのはわかっているけれど、それでもそのゆったりしたテンポが眠気を誘うといえば誘ってしまうわけで、わたしの周囲で眠っている人はいなかったけれど、これはタイミングを間違えて見に行くとやはりちょっと睡魔がやってくる可能性は感じさせました。(笑)

原作を愛読しているとどうしてもキャスティングにも気がいってしまうわけで、ミスキャストとまでは言いませんが、やはり夏帆ちゃんの「右田そよ」はわたしのイメージとは少し違っていました。

原作だと、あんな田舎町に暮らしている少女なのに、そよちゃんはハッとするぐらいの美人なのです。ただ本人は全くそのことを自覚していないところがミソで、そんなに美人なのにバリバリの島根弁を操り、心優しいのにあまりに素直で鈍感なために気遣いに失敗してしまうという憎めないキャラクター、そのギャップがそよちゃんの魅力なのです。
しかし夏帆ちゃんは可愛いのだけれど、結構庶民的な可愛さなのです。ハッとするような美人ではない。そよちゃんは一目見ただけで「おっ!」と振り返っちゃうような美人である方が、彼女のギャップがより強調されると思うのです。
映画だけ見ている分にはそんなことは関係ないかも知れませんが、実はその「ギャップ」がそよちゃんの最大の魅力なので、「普通に可愛い」夏帆ちゃんでは(わたしは)少し物足りなかったのでした。
そして彼女の台詞が何度となく聞き取りにくかった。わたしには既に知っているエピソードばかりだったので、彼女が何と言ったか覚えているけれども、みんなあの台詞は聞き取れたのかな?なんて思いつつ観ていました。
本筋には全く関係のないことだけれど、華奢だと思っていた夏帆ちゃんの足が意外にしっかりしていた(失敬!)であることも発見でした。(笑)

初めキャスティングを知った時に「うーん?」と思っていた大沢くん役の岡田将生くんですが、これが意外に良かったですね。原作の大沢くんより大人し目な男の子になっていましたが、「東京から転校してきた都会っ子」という雰囲気はよく出ていました。

この間、現在放映中の『花ざかりの君たちへ』に出ている岡田くんを見たらすっかりまた成長していて、この時期の男の子の半年~1年というのは変わるなぁ!なんて親戚のオバサンのような心境になっちゃいました。最近の岡田くんを見るとだんだんと渡部篤郎に似てきたように思うんだけれど、そんなことないですか?すごく格好良くなってるんだけど!
彼にはどこかしら市原隼人くんと同じニオイを感じます。何だろう、色の白さなのかな。(笑)

それにしてもなるべく原作の漫画に近い役者さんをキャスティングしている跡が伺えるのですが、とりわけそよちゃんたちの担任の松田先生がもう、漫画と激似!そよちゃんたちの先輩であるシゲちゃんの役の人も激似!オカッパのさっちゃんも激似! よくこんな俳優さんたちを見つけてきたなぁ!というぐらい似てました。

レイ・ハラカミの音楽は全編に流れるわけではなく、子供達の心の揺れに合わせてさり気なく流れることが多かったようでした。そういう意味では田舎の町ののどかさ、静けさを山下監督は大事にしたのかも知れません。
映像を過剰に味付けすることはなく、でもハラカミ氏の水彩画的音楽はちゃんと淡く美しい色づけをほどこしていました。

エンディングに流れるくるりの「言葉はさんかくこころは四角」、何となくちょっと懐かしいような、ほのぼのするような曲の雰囲気がこの映画にマッチしていましたね。

物語に大きな起伏がない分、全体的に映画としてはちょっと冗長な印象がぬぐえませんでした。
それはわたしが原作を知って見ているのでエピソードの具体的な部分まで予測がついてしまっているからなのか、実際、映画のテンポがゆっくりなので少しもたついた印象を持ってしまうからなのか――。

原作では大沢くんはちょっと辛辣だけれど嘘がなく、そっけないけど行動から実は優しさをちゃんと持っている男の子として描かれているのですが、そういう部分(例えば東京への修学旅行でそよがLOFTで田舎の人たちへのおみやげを買う場面等)は原作を知らない人にもちゃんと伝わっていたんだろうか、とふと思ったのです。
なぜなら、どうも主人公2人の台詞が聞き取りにくいと思える箇所がいくつかあったので…。

ともあれ、映画を見る限り佐藤浩市の”お父ちゃん”と夏川結衣の”お母ちゃん”は結構贅沢な使い方でした。

夏帆ちゃん、もうちょっとお芝居が上手かったらなぁ…!(笑)


テーマ:映画感想 - ジャンル:映画







何かせかしちゃったみたいですみません(笑)。ピリ辛の感想でしたね^^。やはり原作にただならぬ思い入れがおありなんでしょう。
私なんて原作無知で「渡辺あやさんとレイハラカミ」目当てで行ったようなものですから充分満足しましたよ。
夏帆ちゃん、私はウマかったと思いましたが。特に聞き取りにくいと感じたセリフもなかったような気がします。知人は夏帆ちゃんの足が少し太めなのはイメージ通りとか(爆)。
パンフの渡辺さんの文章読むとほんと泣きたくなるくらい原作を愛しているのがわかります。elsurさんもきっと同レベルの愛着があるからこそご自分だけのこだわりがおありなんでしょうね。
岡田くん、いいですねえ。ぶっきらぼうだけどなにか弱いものを捨てきれない優しさがあるところはよく表現できてたと思います。演技はまだまだですが今回はそれがかえってよかったんじゃないかな。背は高いし顔小さいし何より超がつくイケメンさんだし。ゆっくりといい俳優になって欲しい。
私の場合ボタン付けのシーンで一気にきましたねえ。あのシーンは監督もこだわって撮り直していたとか。
ラストで大沢君がマルガリータになっていたのを見たときも泣きそうに・・・。
レイハラカミのサントラ(これもすんごくいいですわ!)を買おうとしたら係りの人に「くるりの曲は入ってませんけどいいですか」って念をおされちゃった!(笑)
【2007/09/02 17:20】 URL | マメモヤシ #-[ 編集]
マメモヤシさん

>何かせかしちゃったみたいですみません(笑)。

いえいえ、うちの近所では2週間前から公開になって来週の14日には終わっちゃうんで、このタイミングで見ておかないとと思って。ちなみにわたしの見た回の観客数は20人ぐらいでしょうか。(笑)

ちょっとピリ辛過ぎたかな? やはり原作に多大なる愛情を持ちすぎているせいかも知れません。(笑)
決してつまらないと思っているのではなく、ただ渡辺あやさんの作品を見る時の、あの「胸が締めつけられるような、何ともいえず心がザワめくような感じ」(表現が難しいのですが…)はわたしは今回味わうことができなかったのがちょっと寂しかったかなぁ、と。

パンフ、わたしは買わなかったのですが、読んでみればよかったな。そよちゃんは原作でも「しっかりした足」の設定になっているので設定上はバッチリ!なんですが(笑)、夏帆ちゃんは全体的に華奢だと思っていたので意外だったのでした!

あのボタン付けのシーンは良かったですねぇ!ホロッときました。あれは原作でも名場面の1つなので監督も渡辺さんも絶対入れたかったんだろうな、と思いました。

岡田くんはピュアな感じがよくて、何というか変に巧くなってもらいたくないような気もしたりして。(笑)でも黙って立っているだけでもすごく絵になる人ですよね!
【2007/09/02 20:34】 URL | elsur #uNUMiZDE[ 編集]
また来ちゃいました(笑)。パンフお求めでないと知り(これは内容写真とも600円はお買い得でしたヨ)お節介(笑)かとは思いましたがちょっとグッときた箇所を抜粋しますね。

渡辺さんがくらもちさんへ送る2通の手紙という形で文章が綴られています。

(中略)
『もし、私に「天然コケッコー」の脚色がゆるされるとしたら、私という脚本家の爪跡がどこにも残らないような作業をしたいと思っています。原作の輝きをあるがまま、可能な限り正確に映像に転写すること、あくまでも、その上で劇場映画として成立させること、というのが最大の課題』
と書いておられ、くらもち作品に対しても、
『最高にすてきなことは、最悪に退屈な自分の日常のすぐ隣にひそんでいるかもしれない、と想像してみる練習を、私はくらもちさんの作品を読むことによって、自然に繰り返させて頂いた・・・ヒトの知性とはおそらくそういうことのためにあり、私の思う文化とは、誰かのそれを一緒に盛り上げるお手伝いをすること』

そしてそれに対するくらもちさんのコメント

(中略)
『脚本家という職業柄どうしても原作そのものを触りたくなるというのが人情だ。ましてや渡辺さんクラスになれば尚更だろう。それを敢えてしないという英断に、まずは感服。尤も、水中下では大変なパズルを強いられていたはずだが。さらに原作者の自分がこんな発言はどうかと思うが、今作品のあらすじを文字で書き連ねると正直無意味。だから、渡辺さんが「凡」を「非凡」に表現出来る山下監督を推された意味を十分理解できる。』

う~ん。渡辺さん、自分を潔く消す仕事を敢えてしたのですね。そういう意味から言うとこの作品は熱狂的なファンの渡辺さんにしかできなかったといえるかも。

話は変わりますが私が劇場に足を運んだ時(8月初め、平日昼間)、どう見ても40代以上の男女がけっこういた(30人中半分くらい)のですがelsurさんとこはどうでしたか^^。
【2007/09/03 20:06】 URL | マメモヤシ #-[ 編集]
マメモヤシさん

パンフ、教えていただいて有り難うございました。パンフだけもう一度買いに行こうかな。(笑)

子供の頃からずっとくらもち作品の愛読者なんですが、くらもちさん自身が優れたシナリオライターで、監督で、カメラマンで、美術さんで…なので彼女のマンガ自体がもう映画を見ているようなんですよね。とりわけ一番優れているところが(どの作品もそうなのですが)物語の構成でして、だから渡辺さんは組み立てに相当時間を割かれたんじゃないかと勝手に想像してます。彼女の思う、一番のくらもち作品へのリスペクトというのは「原作を忠実に映像化させるための脚本」ということだったのですね。ほんとに彼女の「天コケ」への愛情の深さが伝わってきました。

わたしが見た時、お隣には30代のママと小学生の娘さん、反対側のお隣は20代後半の女性お一人。 他はほとんどが30代以上の女性で、後ろに座っておられたのは3人組(50代母+20代娘2人)でした。男性は40代ぐらいの人をお一人だけ見かけました。
夏休み公開&出演者の年齢層からして10代の観客へのアピールもあったのかも知れませんが、もしそうなら見事に思惑は外れたかと思います。(笑)
見た感じ、(スタッフの面子から)ミニシアター系の作品とし見に来ている人、くらもち作品のファン(かな?)の30代前後の観客という印象でしたね。
レイ・ハラカミを目的に見に行った人はどのぐらいいたでしょうかね。(笑)
【2007/09/03 22:14】 URL | elsur #-[ 編集]














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