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今日偶然に「Cinema Daisuki」のHPを発見してしまった。
こんなのがあったんだ。ちっとも知らなかった。

かつて、たぶん80年代半ばか後半、ミニシアターが全盛になる前からだと思うけれど、大阪のよみうりテレビ(日テレ系)は深夜に「シネマだいすき」という映画枠を持っていた。
1週間、毎日特集のテーマに沿って選ばれた映画(多くはあまり目にすることができない映画やインディペンデント映画)を字幕ノーカットで放送するという、当時としては画期的な映画枠で、わたしはこの「シネマだいすき」という番組のファンだった。

 


とにかく番組作りが非常にオシャレで凝っていた。
単に選ばれた数本の映画が決まった時間に毎晩放映されるだけではない。毎回テーマの違う特集になっているので、それに合った音楽がテーマ曲として選ばれ、映画が始まる前にその特集の全映画放映ラインナップと詳細なデータとともに流される。画像と字幕解説のみなのだが(司会者や解説者はなし)、単なるあらすじ紹介ではなく、プロダクションの裏話や監督やスタッフに関するトリビアなども網羅している面白いものだった。 

たとえばSF映画特集の時はELOの「Mr. Blue Sky」がテーマ曲だったし、何の特集か忘れてしまったけれど、ストーンズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」だったこともあったし、フランス映画特集だったらヴァネッサ・パラディ(当時はまだそれほど有名ではなかった)のポップスだったりした。

アジア映画もたくさん特集された。
あの頃はアジア映画というと一部の中国映画(「赤いコーリャン」とか「菊豆」など)が評価を得るという状況だったけれど、普通TVでは放映されないような台湾や香港のニューウウェイブの映画もどんどん取り上げていた。「クーリンチェ少年殺人事件」で注目を浴びる前の、エドワード・ヤンの「恐怖分子」もここで取り上げられ(恐らくTVで放映されたのはこれが初めてだったのではないだろうか)、その時初めてエドワード・ヤンを知ったわたしはこの映画にビックリした記憶がある。

ものすごくミニシアター系の映画に精通している番組スタッフがいたはずで(もちろん専門家の協力もあっただろうが)、スタッフのインディペンデントフィルムにかける情熱と愛情が手に取るようにわかる、非常に優れた映画プログラムだったのだ。

「シネマだいすき」は確か年に3、4回ほどのペースで放映されていたと思う。一時期途絶えていたから、もうこの枠はなくなってしまったのかと思っていたけれど、HPを見ると現在も続いている様子で最新回は65回目だそうだ。

確か90年代のはじめ頃までは、年末に必ずその1年の映画興行界を総括する特番があって、品田雄吉が司会だったのだけれど、映画評論家が集まってその年公開された映画について朝まで語りまくり、映画の映像を見せまくり、そしてエンディングでは翌年公開予定の映画予告が配給会社ごとに間髪入れずに延々と流れた。
これがすごく楽しみだったなぁ。

わたしは「シネマだいすき」の会員で、特集があるたびにどデカイ新聞大の会報が送られてきた。これがまた収納に困るサイズなのだ。当時のミニシアターの変形パンフが流行していたから、その影響なんだろうなぁ。(ちなみにウディ・アレンの「Celebrities」のパンフも新聞大で、非常に邪魔くさかったと記憶している)

ルイ・マルの「さよなら子供たち」が公開された時、「シネマだいすき」は日本での公開に合わせてルイ・マルを招待して先行試写の特別イベントを行ったことがあった。
わたしはこの番組の会員だったので、そのイベントに無料で参加することができたから、友人と一緒に今はなき三越劇場(関西でのミニシアターの老舗でありました)に観に行った。

ちょうどそのイベントの日はルイ・マル監督のお誕生日だった。
会場の入り口でスタッフの人たちが入場する観客1人1人に何か説明をしていた。

「実は今日、監督のお誕生日なので、サプライズ・プレゼントを考えているんです。みなさんにクラッカーを1つずつ渡しますので、監督が舞台に登場してご挨拶されたら、合図を送りますから是非皆さんで(フランス語で)”お誕生日おめでとうございます、ルイ・マルさん!”と合唱してクラッカーを鳴らしてもらえますか?」

わたしたちはクラッカーとともに、ワープロ打ちされた小さな紙を渡された。そこにはカタカナとフランス語(…はわからないのでここは割愛)で、

「ボナニ メルセール ムッシュ ルイ・マル!」

と書いてあった。
ホールに入ってからも、スタッフの人がステージに上がり、上の言葉がみなでうまく言えるように練習まであった。なんて熱いスタッフだ。
何度か練習して何百人もの人間がなんとか合わせて言えるまで練習して、イベントは始まった。

ルイ・マルは当時10代半ばだったお嬢さんを伴っての来日だった。
日本はとても好きだ、とかプライベートの旅行も兼ねているから京都にも行きたい、というような挨拶をした。
その後合図があって、わたしたちは練習した「ボナニ メルセール ムッシュ ルイ・マル!」を唱和し、クラッカーを鳴らしてお祝いした。

監督は突然のことに本当にビックリしていたけれど、すごく嬉しかったみたいで、お嬢さんを抱き寄せては「メルシー」を何度も繰り返していた。
何というか、「シネマだいすき」のスタッフは本当にそういった遊び心と愛情にあふれていたんだろうと思う。

年末に会員に対して行われたアンケートがあって、感想欄に「毎回テーマに沿った音楽の選曲が非常にいいので、いつも楽しみにしている」とコメントを入れたことがあった。
そしたらわたしの元に、その選曲を担当しているスタッフから「音楽も楽しみにしてもらっているというのはとても励みになる、ありがとう」とメッセージの書かれたメモとともに、よみうりTVが主催する翌年1年間分の映画試写会の当選通知が届いた。
たぶんこれで25本分ぐらいはタダで映画を見たと思う。(笑)

それにしても過去のラインナップを見ると、よくこれだけ毎回毎回渋いテーマを見つけて特集を組むなぁ、とそのエネルギーに脱帽する。今はもうわたしがかつて見ていた頃とはスタイルも違っているのかも知れないけれど、ラインナップからしてポリシーはあまり変わっていないようにみえる。

印象に残っているのは

#2「SF再考」
#8「名監督シリーズ?」
#11「異常心理学入門」
#13「ソビエト映画シリーズ」
#16「フランス映画フェスティバル」
#18「アジア映画特集?」
#29「ルイス・ブニュエルの世界」

見逃していて見たいと思うのは

#41「小津そして あるいはヴェンダース」
#42「カメラという身体~ゴダール/原将人/C.ドイル」
#54「斬る!」

初期にヨーロッパ映画が多く、後半になるにつれ日本映画、アジア映画を特集する割合が増えているのは、観客(視聴者)の映画に対する視線の変化も感じられて面白い。

以前のエントリにも書いたけれど、関西で面白いことの情報発信源はいつもよみうりTVからだった。
「サムライフィクション」で有名になった中野裕之も当時よみうりTVのディレクターで、中島らもが司会だった伝説的なシュール番組「なげやり倶楽部」(ちなみに記念すべき第1回のゲストは細野さんとシーナ&ロケッツ)も彼の演出だったのだ。

よみうりTVには関西サブカルチャー発信源としての歴史があるのだ。
がんばれ、よみうりTV。

そう言えばわたしは少なからずよみうりTVには縁がある。
その昔、よみうりTVの土曜の朝番組で上岡龍太郎と遙洋子が司会を務めるトーク番組があった。毎週、ゲストを招いて(多くは番宣)トークをするという番組なのだが、スタジオに観客を入れて収録する、その観客のサクラのバイトをやっていたことがある。
座っていればいいだけで、有名なゲストに生で会えて、短時間で高収入という非常に割のいいバイトだった。

やっぱりいいTV局だぞ、よみうりTV。
がんばれ、よみうりTV。





















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