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juggernautこの間見た『交渉人 真下正義』と『逃亡者 木島丈一郎』で爆弾処理班の班長(松重豊)がしつこく「”ジャガーノート”って映画、知ってるか?」と言うもんだから、ものすごく久しぶりに見たくなってしまって、図書館で借りてきた。
たぶん中学生の時にTVで見て以来だから、かなり昔に見たきりだ。

この映画のクライマックス、爆弾の起爆装置につながる赤い導線と青い導線のどちらを切るか、という二者択一の緊迫したシークエンスはその後の多くの映画に影響を与えたけれど、やはり御本家リチャード・ハリスが演じる爆弾処理のプロフェッショナル、トニー・ファロンは「プロの仕事」を見せつけてカッコいい。

ストーリーは豪華客船ブリタニック号に「ジャガーノート」と名乗る人物から爆弾を仕掛けたと言う脅迫電話が入る。ブリタニック号を所有する会社のマネージャー(イアン・ホルムが若い!)は犯人の要求する身代金を払い、1200名の乗客の命を救おうとするが、政府の「テロには屈するな」との政策のために要求をのむことを断るよう命令される。
ロンドン警察(警部のアンソニー・ホプキンスがまた若い!)は犯人「ジャガーノート」逮捕のために地上で捜査を開始、ファロン(リチャード・ハリス)率いる海軍の爆発物処理チームは飛行機でブリタニック号に降り立ち、客船の密室キャビンで仕掛けられた7つの爆発物処理に挑む。



まず事件解決に向けていくつか足かせがあって、1つは悪天候のために乗客を船外にボートで逃がすことができないこと。1つは1200人の乗客を乗せた密室空間であること。1つは大量の爆薬を積んだ時限式爆弾なので、時間との闘いが強いられること。

”Juggernaut” とは、インド神話の神の化身の名前でもあり、また絶対的な力や巨大な破壊力のことを意味する言葉でもある。
この映画における”Juggernaut” は正しく恐ろしく破壊力の強い、7つのドラム缶に仕掛けられた爆弾を指しているのだろう。

1974年制作のイギリス映画、今見るとドラム缶に仕掛けられた精密な爆弾はいささか旧式なのだけれど、この映画のすごいところはCGも特殊効果も使わずに、爆発シーンや爆弾そのものが「精緻に組み立てられたもの」だという見せ方だ。ちゃちなミニチュアなんかは登場しない。犯人が時限爆弾がただの脅かしではないことを証明するために、船のデッキに仕掛けた小爆弾を爆発させるところなんか、本当に船上で爆発する様子を空撮していたりする迫力なのだ。

この映画の面白さは、精密に作り上げられた物言わぬ爆弾と、多くの経験を積んだ爆弾処理のプロフェッショナル・ファロンとの知恵比べにある。爆弾を作った人間とそれを爆発させまいとする人間の頭脳ゲームだ。1つ間違えば船ごと吹っ飛んでしまうという状況下、1個ずつ高度なハードルをクリアしていかなければならない緊張感。
今までの自分の技術と経験と読みと知識を信じて爆弾処理に臨む男、リチャード・ハリスが全くもってかっこいい。プロの仕事とはこういうものだ、というのを見せつけてくれる。ネジ1つ外すことすら汗が流れてくるようなシーンの連続。

映画にいくつか印象的な場面があるのだが、ファロンという人物がいかに腕利きの爆弾処理班かを紹介するために、彼が美術館に仕掛けられた爆弾の解除を行う場面が冒頭に登場する。彼は部下でありよき相棒でもあるチャーリーに爆弾の仕組みを説明しながら、いともアッサリと爆弾を除去する。

チャーリーが「無敵だね」とファロンに賛辞を送り、二人で「♪ Fallon is the champion, チャチャッチャ・チャッチャッ♪」と手拍子を打って無邪気に喜ぶ。彼らがいかに生と死が隣り合わせる危険な任務を背負っているかということよりも、より「ゲームに勝つ喜び」「相手を打ち負かす喜び」にファロンが人生を賭けているという人間像を匂わせる伏線にもなっている。

ブリタニック号での爆弾処理の際、まずはファロンが先頭を切って処理を行い、その報告を無線で受けた部下たちがファロン以外の場所にある爆弾を続いて処理を行う。ファロンがある装置のコネクションを絶縁するためにプラスチックのプレートを差し込む作業をしようとした時に悪天候のために船体が揺れ、彼はその作業を完了することができない。しかし無線越しでそれに気づかないチャーリーはファロンが作業を完了したと思いこんでプレートを差し込み、そこに精巧に仕組まれた細いワイヤーを切って爆死してしまう。

この脚本の巧いところは、チャーリーの爆死の後、その悲しみと恐怖を乗り越えて作業を続けなければならないファロンの描き方。
作業を続けようとするけれども手が震えてうまくいかない、一息入れて「何を恐れることがある?もう十分生きたじゃないか」と自分に言い聞かせながら、それでも処理を続ける人間的な面を見せていることだ。プロフェッショナルだけれども人間的な弱さも見せる、そこがいい。

解体作業の初期の段階で、ドラム缶の中を開け、その精緻な時限爆弾を見て「さぁ、これから闘うぞ」という時にファロンがチャーリーに言うセリフも印象的。

”Off you go, Charlie.  Follow the yellow brick road.”
(さぁ、行こうか、チャーリー。イエロー・ブリック・ロードをたどるぞ。)

日本語訳がどうなっているかわからないけれど、” Follow the yellow brick road” はご存じ、「オズの魔法使い」に出てくる有名なセリフ(歌)で、エルトン・ジョンにも”Good-bye yellow brick road” という歌があるけれど、ドロシーたちが目指すエメラルドの都に続く道、それがイエロー・ブリック・ロードだ。「オズの魔法使い」の名セリフは今や古典としてことわざのように映画や小説や音楽など、いろんなものに影響を与えているけれど、こんなところにも登場していた。

ジャガーノートが作った爆弾があまりによく出来ているため、「敵ながら天晴れ」の意味を込めてファロンが言うセリフ。ここに彼の爆弾処理のプロとしての自信が見えてかっこいい。

” You're a good man, Juggernaut.  But so am I... so is Fallon.”
(すごい男だよ、ジャガーノート。だが俺もすごいんだよ。)


地上での警察の捜査の結果、犯人のジャガーノートが実はファロンの元上司であり師でもあるバックランドであったことが判明し、バックランドと話をさせろと迫るファロン。
最後に残った赤と青の導線のどちらかを切れば無事に爆弾は処理でき、間違えれば客船は吹っ飛ぶ。残り時間はあと3分。
「一言でいい、教えてくれ、赤か、青か?」と問いただすファロンに、バックランドは怯えたように、「青を切れ」と答える。

一旦はニッパーで青の導線を挟みかけるファロンだが、バックランドの言葉のトーンに何かを感じ取ったファロンは赤のワイヤーに選び直して、切る。
爆発は起きない。

”Red, lads!  Cut the red, R・E・D, red! ”
(みんな、赤だ!赤を切れ、赤だ!)

このシーンの緊張感たるや。
『交渉人 真下正義』では完全にこのシーンをパクってましたね。(笑)
爆弾処理に成功するも、相棒のチャーリーを失ってしまったファロン。彼が緊張から解放され、一人歌う「♪Fallon is the champion, チャチャッチャ・チャッチャ♪」が虚しく響く。
これを一緒に歌ったチャーリーはもういない。そして一人キャビンに座り込んで虚無感を感じるファロンをカメラが引いた画で撮っているのがすごく印象的。

ただ1つ不思議だったのは、海軍の爆弾処理班のプロなんだけれど、みんな作業服ではなく普段着なんだな。シャツにセーターにスラックス姿。そこはイギリスの伊達男たちのこだわりがあるのでしょうか。
しかもみんな時限爆弾が仕掛けてあるドラム缶の周りでタバコやパイプ吸ったりして、「おいおいおい、火気厳禁じゃなくていーのかい?!」なんて思ったりもして。

ブリタニック号の船長役でオマー・シャリフが出ていて、リチャード・ハリスと共に一応この映画の2枚看板風な扱いになっているものの、実質オマー・シャリフにいいところは1つもないというのも何だか不思議。
やはり最も彼が輝いているのは『アラビアのロレンス』ですね。







当時小学生だった自分が友達と字幕スーパーで劇場で見た初めての映画です。
実に懐かしい。
主人公のファロンがパイプをふかしていたのが印象的で、同じピーターソンのパイプを今は大人になった自分がくゆらしています。
【2012/10/06 08:46】 URL | たつぼー #oMHXVlb6[ 編集]














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