いやいやいやいや、本当にこの回は「阿部サダヲ・オンステージ」なのでした。こんなに阿部サダヲの役者としての才能を見せつけたドラマはあったでしょうか。
うーん、素晴らしすぎる、阿部サダヲ。
天才的な腕を持つ麻酔医・荒瀬(阿部サダヲ)が現在のようなやる気のない、高額の報酬によってしか動かない医師になってしまった原因が今回明らかに。
麻酔でラリっている荒瀬を当直明けの伊集院(小池徹平)が送っていくことになり、荒瀬に連れていかれたバーで彼の過去を知る伊集院。
酔いつぶれる荒瀬を置いて店を出る伊集院だが、荒瀬の世話をいろいろと焼いてくれるバーテンダー・香(奥菜恵)が荒瀬の注文しただし巻きタマゴを作るのにコンビニに買い物に出た時強盗犯に撃たれ瀕死の重体になっている現場に遭遇する。
さっきまでグデングデンに酔いつぶれていた荒瀬も現場に来て、救急車が到着するまでの間に救急処置を荒瀬と伊集院の2人が行う場面。
現場に駆けつけた時の表情はもう完全に医師の顔になっている荒瀬。
ここであり合わせの物を使って迅速かつ的確に処理を行う本気な荒瀬の姿で優秀なER医であることを見せて「おぉっ!」と思わせます。
まず、ここのサダヲちゃんがカッコいいです。
しかしここはまだサダヲちゃんの素晴らしさを垣間見せるための序章にしか過ぎなかったのだ!
それで、続く救急車内のシーン、ホント、mamiさんが言ってたみたいにここでわたしは大泣きです。
このシーンでは小池徹平くんの上手さも全開。
彼も芝居が上手いから、この救急車のシーンで倍泣かされた気がする。
「ボクちゃん」とか「真ん中分け」とか散々なことを言われている伊集院くんですが、『ER』のカーター君同様、あなたがこのドラマの大きな要です。このドラマは本当にキャスティングの勝利ですね。
「明真に行けば朝田先生がいる、病院にさえ着けば、必ず何とかしてくれる…!」
救急車の搬送先を明真に指定する伊集院。救急車内でも必死で処置を続ける2人。
ここでの必死に作業を続ける荒瀬の姿と、研究のため、報酬のために悪魔に魂を売って堕ちていく自分の姿、そしてそれを黙って見守ってきた香の回想をフラッシュバックさせて交互に見せる手法が非常に効果的。
「だし巻きたまご」の理由、香がただ一人荒瀬を「先生」と呼ばない設定、これらを荒瀬の心の奥に触れるエピソードとして使っているのも巧い。
次第に弱っていく香に対し、救命作業を止めてしまった荒瀬に驚く伊集院。しかし香に向かって笑顔でいつも通りに世間話をし始める荒瀬。
ここでの徹平くんとサダヲちゃんのシークエンスは涙無くして見られません。
伊: 荒瀬先生…!呼吸がもう…荒: 香ちゃんよぉ、今年の夏は海行こうな。今年こそつき合ってもらうかんな。水着買ってやるよ、ドハデなビキニ買ってやる。どこがいいかなぁ…ホテルはスウィートだな。金なら腐るほどあっからよぉ。映画も行かなきゃなぁ。何がいいのかな。伊: 荒瀬先生…荒: やっぱアレか、恋愛モンか?若い女、好きだかんな、そういうの。伊: 血圧…もう反応しません…荒: しょうがねーなぁ。たまには無理してつき合ってやるよ。伊: 脈拍…極めて微弱…荒: いつも無理してつき合ってくれてるもんな?伊: …血圧 …測れません…荒: オレのくだらねぇ話、いっつも無理して…笑って聞いてくれてるもんな。伊: みゃ…脈拍…、ふ…振れません…(涙声)荒: マッズイだし巻きたまご…いっつも作ってくれてるもんな…伊: もう…落ちません…荒: 明日っから…オレ、どこに酔いつぶれに行けばいいんだ…この後に続く「香の最後の言葉を受け止めることのできる人間」の部分も、荒瀬に残された医師としての良心をうまく描いて見せて、泣かされてしまう。
救急車が明真のERに到着したところからまたラストスパート。
朝田の見事な腕で迅速で難しい緊急オペをこなしていく。
自分には香の手術に立ち会う資格はないという荒瀬に、頭を下げて万が一の時のために立ち会って欲しいと頼む伊集院。
「見学だ」と言いつつぶらりと手術室に入って来てからの荒瀬が、また第3の顔を見せるんだなぁ。
担当の麻酔医が朝田のオペについていけないと判断するや、即刻自分が麻酔管理を行うと宣言。ここからはさっきまでのトーンダウンした顔とは全く違う、自分の専門分野で生き生きした余裕の姿を見せる荒瀬。
的確に指示を出し、天才麻酔医としての才能をいかんなく発揮する彼の姿がまた生意気で横柄な「いつもの荒瀬」で、ガラッと違う人間像を見せるのが上手いよね。
術後、麻酔の覚めた香の横には荒瀬が付き添っていて、ここでのサダヲちゃんの芝居がまた素晴らしく、泣かせるのだー。
香に懸命に話し掛ける荒瀬に、初めて「せんせい」と呼びかける香。
これを聞いた時のみるみる泣き顔に変わっていくサダヲちゃんの表情がね、もうね…(←泣いてる)。
そしてそのすぐ後にまた朝田に会うといつも通り不適な荒瀬に戻っているのがスゴイ。朝田に向かって、
「オレについてこれた外科医もお前が初めてだよ」
「2人目のバチスタ、決まったら教えろ。…ギャラは今日の治療代だ」
病院やバーでヘロヘロになっているヘタレな荒瀬。
事件直後に的確な処置で本気の顔を見せる荒瀬。
救急車内で必死に救命する荒瀬と、命尽きかけた香にあきらめを見せる荒瀬。
手術室で朝田の技術を見て本領を発揮し、麻酔医として完璧な仕事をする荒瀬。
そして香のベッドの横で泣き崩れる荒瀬。
一体どんだけの顔を見せるのだ。
もうこれでもか!っちゅーぐらいサダヲちゃんで満腹になりました!
この回1本で一人の役者がこれだけ幅のある芝居を見せるというのも本当に珍しいんではないかな。そうしてそれに応える演技を見せた阿部サダヲはやっぱりすごい。
どうもごちそうさまでした!!
このドラマの
サントラが発売になったそうで。
恐らくわたしが言っていた「感動的な場面でいつも流れる曲」というのは「Blue Dragon」(そしてその曲が英語詞&女性ヴォーカルで歌われているバージョンが「Aesthetic」)だと思われますが、ちょっとこのサントラ、欲しいなぁ。(笑)
【本日のBGM】 Superstar / くるり (まだまだ続くのです)