
ようやく届いた『新選組!』のサントラ第二集。
あぁ、キミの到着を心待ちにしていましたよ。
1作目も紛う方なき名曲揃いだったけれど、第二集は作品が佳境に入ってからの音楽が並んでいるのでわたしにとっては『新選組!』ベスト盤のような印象すらある。
もちろん1作目にも大好きな曲はたくさんあって、「失意」「後悔」「衝動」などは今もmp3プレイヤーに入ったままだ。
ライナーノーツにも書いてあるように、もう1年半も前に終了してしまったドラマの、しかもサウンドトラックの続編が発売されるなんて普通なら考えられないことだ。どのぐらいこのドラマが多くの人に愛され、そしてどのくらい服部さんの音楽が多くの人の心を捉えたかという証なんじゃないかな。
このあいだ見終えた『HERO』の音楽も服部さんが担当している。
ちょっと聴けば「あ、服部さんだ」とすぐにわかる。
『HERO』の音楽もドラマを盛り上げるいい曲がたくさんあったけれど、やはり『新選組!』の叙情性溢れるメロディと弦のアレンジはとりわけ美しく、忘れ難い名曲が並んでいる。
これは『新選組!』ファンに共通するところだと思うけれど、このドラマが好きであればあるほど、思い入れの深い場面と服部さんの音楽は強くリンクしている。
あの場面とあの音楽、それらは切っては切れない結びつきを持っていて、メロディを聴くだけで容易にその曲が流れていた場面が脳裏に浮かんでくる。
わたしは音声でも『新選組!』を堪能?したため、”耳で聴く『新選組!』” も楽しんだクチです。
ライナーノーツに服部さんのインタビューが掲載されているのだが、面白いのは服部さんがどの場面のためにその曲を書いたかという解説と、わたしの頭の中に残っている場面が必ずしも一致しないこと。
もちろん曲の発注と選曲の決定権は演出家が持っているのだろうし、同じ曲が何度も繰り返し使われていることもあるから、1つの場面に1つの音楽と決まったわけではないけれど、思い出す曲と場面によってどのシーンが最も自分の記憶に引っかかっているのかがわかるというのは新しい発見かも。
たとえば「
和解」という曲は、確執のあったふでと勇が出自の秘密を明かすことで和解する11話の最後の場面に流れる有名な曲だけれど、わたしの中でこの曲といえば圧倒的に25話の「新選組誕生」の回で暗殺部隊の4人が斉藤一に阻止されそうになるところと、32話「山南脱走」で山南さんを追って総司が馬で街道を行く場面で浮かぶ曲なのだ。
「
恋心」は近藤と深雪太夫の恋の曲、と服部さんは言っているけれど、これまたわたしの中では山南さんと明里のための曲だ。
深雪太夫が死ぬ時に流れる曲として「
別れの情景」が作られたとあるけれど、同じメロディの別アレンジがこの曲の次に入っている「
命の灯火が消える時」で、わたしにはこの曲は”総司とおひでちゃんのテーマ”という印象が強い。
ずっとフルコーラスで聴きたいと思っていた「
お梅」が収録されているのも嬉しい。これはほんとに甘美で切ない名曲だ。
服部さんも「ひたすら官能的に美しくしようとか、セクシーだけど浄化された美しさを出せたら」と語っているが、その要素は見事に琴の音色で表現されている。
わたしの”涙スイッチ”がオンになってしまう場面の1つ、45話「源さん、死す」で源さんが死にゆく場面に流れる「
静かなる激情」は、服部さん自身も個人的に好きな曲だそうだ。
この曲は最終回の捨助が近藤のために刑場に斬り込んでいく場面でも流れるけれど、どちらの場面でも前半の不協和音のような重い流れから美しいメロディアスな曲調に変わっていき、ストリングスが幾重にも重なっていくアレンジが気持ちの高まりと相乗して胸に迫る。
この曲がわたしを泣かせるのは照英の「そんなんじゃダメだぁ!」のせい。思い出しては、じょあー。(涙)
そして「
侍泣き」「
無念」「
山南切腹」と続く曲順はたまりませんね。(笑)
「
無念」は確か40話で平助が新選組を離れるにあたり総司と最後の別れをする、あの名場面で流れる曲。
総司の「来年のお前が…再来年のおまえが羨ましい」の名セリフで流れていたこの曲を聴くと、ここの藤原くんと勘太郎くんの芝居があまりにいいので『新選組!』を全く知らなかった友人に、この場面を1人2役で演じて見せたことを思い出す。
今回この曲をこの曲順で聴いていて、この曲が「
山南切腹」のメロディのバリエーションだと初めて気がついた。もし2曲続けて入っていなかったら気がついていなかったかも知れない。
どちらの場面もあんなに何度も見たはずなのに、なぜか同じメロディの別バージョンだということに全く気がついていなかった。演奏する楽器とテンポが変わると印象も全然違うもんだなぁ…って、気づいてなかったのはわたしだけ?
「未来への扉」は、これです、これです、33話の「友の死」で総司が山南さんを見つけるところで流れるアレです(コーラスは入ってなかったように思うが)。
街道の茶店で山南さんが総司の姿に気づき、目をつぶってから意を決したように立ち上がる、あの「沖田くん、ここだ」の場面の曲。
1作目の「
衝動」の中にも別アレンジして部分的に織り込まれていた。
『土方歳三最期の一日』からの2曲(「官軍上陸」と「希望のワルツ」)にはちょっと思い入れの薄いわたしですが、本編で流れた曲はどれも心に残るものばかり。
三谷さんのコメントも掲載されていて、「個人的には一番好きな清河八郎のテーマが入っているのが嬉しい。今も邪悪な心が芽生えた時、僕の頭の中ではこの曲が流れます。」というコメントに大笑い。
あぁ、確かに。邪悪な心を象徴していそうな曲だ。
改めて上手いなぁ、服部さん。
これだけ『新選組!』の名曲たちを網羅してもらっていながらまだ欲深く残念がるのはいけないのかも知れないけれど、わたしが聴きたかった曲が実はもう1曲ある。200曲も作れば全て収めるわけにはいかないのは道理なんだけれども…。
わたしが聴きたかったのは、24話「避けては通れぬ道」で土方と山南さんが新見を陥れる時に流れる、あのウッドベースが印象的なあの曲です。
わたしはこの24話も大好きなのだ。新見をはめるための4者会談の緊張感ったらなかった。
あの照明、あのベース音が入るタイミング、そして曲の音の少なさ――これらが生み出すあのものすごい緊張感は見事だったなぁ。
「謀ったな、ヒジカタ」
「先生ぇーっ!」
わたしの中の『新選組!』の隠れた名曲なのです。