4/14の正午から、『新選組!! 土方歳三最期の一日』のコメンタリーキャストの販売が始まっていたので、早速購入して聴いてみました。
セルDVDの購入特典として、スタッフや出演者のコメンタリーというのは今やはずせないサービスの1つですが、今回のコメンタリーキャストはなかなか聴き応えがありました。
先日レンタルで見た『青い春』にも豊田監督と出演者たち(松田龍平、新井浩文、大柴裕介、高岡蒼佑)のコメンタリーがついていたので聴いてみましたが、監督も含めみんなの年齢が近いせいか、ハッキリ言って高校の昼休みに教室や学食でワイワイ喋っているような内容だったため、これと比較すると今回のこの『新選組!!』のコメンタリーの情報量のはすごいです。
この特典を利用しようとする人が何を聴きたいと思っているか、という配慮がもう、全然違う。ひとつはこのドラマの作り手の”熱さ”というのが元来並々ならぬものがあるからだとは思いますが。
以下は内容に触れているので、これから聴こうと思っている方はご注意ください。
とりあえず、コメンタリーを聴くにあたって映像と共に聴かないとよくわからないだろうと思ったので、まずはラップトップをリビングに移動し、DVDプレイヤーに『新選組!! 土方歳三最期の一日』のDVDをセットし、コーヒーを入れ、出来上がるまでにトイレにも行って、万全の体制で臨みました。
ちゃんとドラマがスタートする前にカウントダウンが始まって、時報みたいなサインが鳴り、そこから映像と湖面タリーを同時スタート。
まず意外だったのは、三谷さんのコメントを聴いてると意外に三谷さんは演出プランを知らなかったんだなぁということ。もっと吉川さんたちといろいろと話し合っていて、演出に関してももっと関与しているのかなと思っていたけれど、ホンを書き終えたら後は本当に演出家にお任せしているんだなぁ。
三谷さんは何かにつけて目立ってしまうから、どうも彼がドラマの全てに携わっているかのように思ってしまいがちだけれど、吉川さんに対する「これはどこで撮ったんですか?」「これはセットですか?」「これはどうしてこうなったんですか?」なんていう素朴な質問を聞くと逆に何だか「あ、そういうのは三谷さんは知らないんだ」と、ちょっと新鮮な驚きでありました。
以前に別の回のポッドキャストを聴いたことがあるのだけれど、演出の吉川さんは滑舌よく、アナウンサーのように声も通って、お喋りも滑らかで上手なので聞いていて安心感がある。ちょっと山下達郎のしゃべり方に似てる。(笑)
そして何より彼の『新選組!』というドラマに対するこだわりの数々が聞けて面白いです。
このドラマを
お正月以来全く見返していなかったから、今日3ヶ月ぶりぐらいでもう一度見たわけですが、コメンタリーを聞きながらもう1つ思ったのは、視聴者(わたし)は思ったほど作り手の演出プランをわかってなかったんだなぁ、ということ。(笑)
吉川さんは「10回見て10回目にわかる、というように作ってみた」って仰ってたけど、確かに彼のこだわりの数々は至ることろに見られました。
市川鉄之助を演じた池松荘亮くんをまた「可愛い」「いいよねぇ」と絶賛のお3人。特に耕史くんの彼への寵愛ぶり(?)は健在でした。(笑)
そして試衛館ズのシーン。
近藤の不在について、三谷さんはやっぱり『ゴッドファーザー Part II』 を意識してたんだなぁ。あのラストシーンをここでもイメージしてたと。
それにしても三谷さん、照英さんのことを話してて何度も「島田さん」って役名で呼んじゃうのが笑っちゃう。
他にも聴いてていくつか吹いてしまうポイントがあるけれど(たぶんみんな同じ部分で笑っちゃうんじゃないかと思いますが)愛之助さんのアップのバックで三谷さんが
「
愛之助さんって、ちょっとライオンの赤ちゃんに似てる感じが…」
と言ったのには大笑いしてしまった。 あと、
「
京本正樹もビックリ…だね」
っていうの。(笑)
後半になるとあのディスカッションの場面が続くので、吉川さんと耕史くんの撮影苦労話が登場しますが、見ている方としては実はそれほど「1シーン1カット」へのこだわりというのは気になっていなかった。
これは作った人(見せる側)にはガックリくる話かもしれないけれど。
ドラマの流れを止めないでずっと撮影するから、自然に役者の方の感情の高まりや偶然性が映りこみやすく、面白いシーンが撮れることが多いのだろうと思うけれど、何というか、実は作り手が出したい効果がこれによってどこまで見ている側に伝わっているかというのは、意外に難しいんじゃないかなぁと思ったりもする。
例えば『流山』での有馬藤太と近藤の対峙シーンではこの1シーン1カットによって、あの張りつめた緊張感がものすごく生きてて、あれは『新選組!』のエピソードの中でも出色のシーンだったと思うんだけど、そう言えば確かあの回の演出も吉川さんのでしたね。(笑)
でもあまりに「長回し」を多用すると違和感なく溶け込んでしまってその効果が生かされないんじゃないかと。
そんなわけで、わたしの場合は「ここぞ」という時以外に「長回し」を使って演出されていても(作り手が意識しているほど)あんまりそれを意識してない、ということに改めて気がつきました。
これはやっぱり演出家のコメントが聞けることの醍醐味ですね。
それにしても、ものすごく多くのシーンで合成と映像の特殊技術が使われてたんだなぁ!吉川さんの「ここも合成ですね」「ここも消しました」「これも消しました」というのを聞くと『新選組!』もお金かかってるなぁ。(笑)
今回コメンタリーを聞いての発見は、全編に渡る吉川さんの演出意図として、太陽や空、月の映像インサート、俯瞰での画などが「天国の近藤勇からの視線」として、「天上から土方を見下ろしている」ということを意識してのものだったということ。なるほど。
そして土方の最期の彼の微笑みも、かっちゃんの「トシ…《次に何をしようか?》」の、
《次に何をしようか》 への返答の微笑み、というのがわかって収穫でした。
わたしは単純にかっちゃんと再会できたことの喜びの笑みかと思っていたので、香取くんの、セリフにはなかった《次に何をしようか》という気持ちにの方に、ここで耕史くんが応えていたという演出が心憎かったです。
今回このコメンタリーを聞くにあたって、もう一度『土方歳三最期の一日』を見たわけですが、コメンタリー・メインで見たこともあるためか、やはりドラマとして何度も見返したい、という気持ちには正直ならなかった。
かといって、このドラマが全くつまらないわけではなくて、ただ『新選組!』49話への思い入れがあまりに自分の中で強すぎるために、その気持ちとこのSPへの思いとのギャップがあまりにも大きい、というのもあるのだけど。
コメンタリー最後に、耕史くんが収録日の少し前にまた第1話を酔っぱらって見た、という話を聞いた三谷さんが呆れて、
「僕はあのぅ、山本耕史がいまだに第1話を見てるというのが、嬉しくもあり、ショックでもあると」
と語っていたのが可笑しかったです。
コメンタリーキャスト、情報量てんこ盛りですごく聴き応えのある90分でありました。これはお買い得ではないでしょうかね。